My Sound Room
バックロードホーンを聴く。。。
Back / Next
My Sound Room
次期スピーカーの案を練っていたとき、偶然長谷弘工業様のサイトにたどり着きました。

この会社は非常に興味深い工法でエンクロージャーを作っています。
バックロードホーンの複雑な音道を積層工法 といったらいいのでしょうか、同型の板を何枚も重ねることで形成しています。
その結果、従来のバックロードホーン(木製の)と違い、段差の無い滑らかな音道ですので、きっと音も良いに違いないという期待を抱かせます。

実は若かりし時、友人の作ったバックロードホーン(長岡式?)を短時間ですが聴いたことがあります。
正直音量があるが荒々しい という印象でしかありませんでした。
彼はレゲーを聞いていまして、「とてもいい」と言っていましたが、ワタシにはどうにも合いませんでした。
ですので、長谷弘工業様の曲線で、且つナキが少なそうな頑丈な音道のホーンがどんなものかぜひ聴いてみたくなりました。
完成品を貸していただけるということで、申し込んでみました。

お借りしたのは「RR−PA13」というモデルで、10cmのウッドコーンドライバー!を搭載した飴色で大変美しい、趣味性の高いスピーカーです。
このモデルの場合、厚いMDFを7枚重ねて音道とし、サイドパネル2枚ではさみハコを形成しています、つまり9枚重ねですね。


発注して幸い1週間ほどで手元に届きました。
梱包をとくと、ずっしりした飴色の優美な躯体が現れました。
10cm一発としては随分大きいと思いました。
また重く、頑丈なエンクロージャーは拳で軽く叩いてもほとんど響かない、予想通りのものでした。
早速、PC横のK−521Bにまず繋いでみました。
この機種はミニコンの部類ですが、結構いい音を奏でます。
フルデジタルで、フラットで癖が無い音調です。

まずZ600と取り替えたとき、高域は丸く刺激が少なく、中低域が伸びやかな感じがしました。
予想していた荒さは感じませんでした。
精密 ではありませんが、大変伸びやかな音調です。


Emilie Claire Barlow/ Like A Lover

カナダ出身の女性ジャズシンガーで、父親はドラムをやるという家庭に育ち、若くして活躍しているようです。
録音が鮮やかで、フルレンジ単発でも気持ちよく聴ける一枚です。
RR−PA13では、高域が鮮やか過ぎず丁度良い具合でしたが、ボーカル域が少し膨らみ飽和気味でした。
John Dowland/Lute Works

ジョン・ダウランドは、16C末のイギリス、ルネサンス期の宮廷作曲家で、優雅で雅な作品を数多く残しています。
このCDは彼のリュート曲集といえるものです。 リュートは音域が比較的狭い(中域中心)ですので、このスピーカー
に合っているかも ということで聴いてみました。  
録音が古いのか、ドライバーの味かもしれませんが、小音量では少し遠くで鳴っている感じで音量を上げると漸く本領発揮
と言う感じでした。
En Aranjuez/ G. Karr & H. Leuis

これは、低音域のチェックでよく使用します。
コントラバスはきれいに再生できていました。 最初の数曲のパイプオルガンは10cm単発では厳しいかもしれませんが、
もしや という期待で聴いてみました。  しかしやはり最低域は薄かったですが、その上あたりはそれらしく聴かせます。
 メインSPでは、30cmのサブウーファーを使いますので、25-50Hzあたりのオルガンがすごい迫力で聴け、あたかも教会
で聴いているような感じがします。 低音の海にバスがぽっかり浮かぶ感じです。
RR−PA13では上下とも出ておらずこじんまりしてしまいます。

RR−PA13は、帯域を無理に広げた設計でなく、中、中低域を伸びやかに聴かせる設計のようです。
高域が丸いのは、多分にウッドコーンドライバーの音調だと推察します。
ドライバーを選び、ツィーターなど追加すれば印象がガラリと変わるかもしれません。
私の期待したのは、小音量で聴くことが多いのでバックロードがその期待に沿うのではないかと
思ったからですが、結果は逆でした、残念。
試聴は5日間可能でしたが、いろいろ用事が重なりましたので、3日間しか聴けず返送しました。
10万円を超す高級機ですので、他のアンプも繋ぎたかったですが、時間不足で残念でした。